韓国国情院が元院長らを告発「事実曲げたと判明」政権交代後の調査で

ソウル=鈴木拓也
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 韓国政府の情報機関・国家情報院は6日、文在寅(ムンジェイン)前政権下で院長を務めた2人を国情院法違反(職権乱用)や共用電子記録の損傷の疑いで検察に刑事告発したと発表した。北朝鮮との間の越境者の扱いをめぐり、事実をねじ曲げた発表や不適切な対応をとった疑いがあるとしている。

 同院の発表によると、朴智元(パクチウォン)前院長は、2020年9月に北朝鮮沿岸の海上で北朝鮮側に射殺された海洋水産省の船員について、「北朝鮮へ行く意思があった」と事実をねじ曲げた発表に関与した疑いがあるという。

 船員は同省の指導船での勤務中に行方不明となった後、海上で北朝鮮から銃撃されて遺体を燃やされたことが判明したとされた。

 北朝鮮に融和的な姿勢をとった文政権下の事件で、北朝鮮側は遺体を燃やしたことは事実上否定しつつも、金正恩(キムジョンウン)総書記が文大統領に文書で謝罪した。だが、今年5月に尹錫悦(ユンソンニョル)政権に交代した後の調査では、船員の北朝鮮に行くという意図は明らかではなかったとされた。

 また国情院は、徐薫(ソフン)元院長についても、19年11月に船で韓国側に越境してきた北朝鮮の船員2人が韓国への亡命の意思を明らかにしたにもかかわらず、北朝鮮に送還した疑いがあるとしている。この2人は船内で同僚の16人を殺害していた。(ソウル=鈴木拓也)