丸形の羊肉が焼け、煙が立ち上る。参院選が終盤にさしかかろうとしていた7月3日夜、立憲民主党の泉健太代表は札幌にいた。その日の街頭演説をすべて終え、飛び込んだのはススキノのジンギスカン料理店。札幌生まれ。懐かしい味をかみしめながら、口を突いて出た。
「勝ちたいな……」
その顔には、期待と不安が入り交じっていた。党代表として初めて迎えた本格的な国政選挙は、全国を演説してまわりながら迷いと落胆と鼓舞のループを描いた。
「朝の駅頭立ち、始めようか」
泉氏が突然、そんなことを言い出したのは、公示後の6月24日。有権者に立憲はどう受け止められているのか、空気感をつかむには駅頭に立つのが一番と思い立った。3日後には東京都内で朝7時に駅頭に立つ泉氏の姿があった。
突きつけられた現実は、思う…