教員免許更新制「やっと解放」の現場 研修新制度で負担どうなる

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桑原紀彦 編集委員・氏岡真弓
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 教員免許更新制が今月1日に廃止され、来年度から始まる新たな研修制度の骨格が固まった。研修の成果について教育委員会や校長が確認する方法を明確化し、教員の指導力の担保を図る。ただ、教員の間では、校長が研修を勧める形式は自主性を損ない、履歴を記録する作業は負担増になるといった懸念も残る。一方の校長たちにも、業務が膨らむ警戒感がにじむ。

 「やれやれ、やっと解放されるのか」。大阪府の中学校の男性教員(56)は免許更新制の廃止を知り、そう思った。

 学校には朝7時に行き、顧問をしているバスケットボール部の練習の指導をする。体育祭や文化祭など行事の担当もしているので、会議に合わせて資料を作らなければならない。締め切りのある仕事を先に片付けるとなると、授業準備は後回し。部活の後、退勤は午後7時だ。教頭が残っている全員に一人ひとり「早く帰れ」と声をかけるので、残った仕事は持ち帰るしかない。帰宅後、食事をしてから取りかかると能率が上がらず、午前0時を回る。

 そんななか、10年に1度の更新講習の優先順位は低くなる。参加しやすい日時は埋まり、結局、疲れ切った体で居眠りしながらオンライン研修をこなした。最新の知識が得られるとは思えなかった。

■ICT・教育データ活用、資…

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    氏岡真弓
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2022年7月12日15時46分 投稿
    【解説】

    【教員の成長って?】 筆者です。先生はどう成長するのでしょう。勧められた研修を重ね、ポイントカードのポイントを集めると成長するのか。それとも、現場でいろいろな生徒に出会い、試行錯誤をかさねながら行ったり来たりして成長するのか。取材している

    …続きを読む