「疑問払拭できない」 性の多様性条例可決、提案の自民から9人退席
7日に閉会した埼玉県議会6月定例会で、「県性の多様性を尊重した社会づくり条例」の案が賛成多数で可決した。条例案を提出したのは自民党県議団(49人)だが、採決時にはそのうち9人が退席した。
この条例は、全ての人が性の多様性を尊重され、安心して生活できる社会づくりを行うことを基本理念としている。性的指向や性自認を理由とした不当な差別的扱いを禁じるほか、自治体や事業者には性の多様性に配慮した施策を実施することなどを求めている。
採決で退席した議員の1人は取材に、県民からトランスジェンダーの女性のふりをした男性による犯罪が発生するのではないかと懸念する反対意見が寄せられたことに触れ「疑問が完全に払拭(ふっしょく)できない限り、賛同しかねる」と話した。
同県議団は1年前から条例案の内容について議論を重ねてきた。自分たちで議会提出にこぎつけた議案に対し、採決時に会派内から退席者が出ることは近年なかったという。小島信昭団長は、提出議案には会派の全員が賛成することが「原則」だとして「性的少数者の生きる道を閉ざすことなく権利がしっかりと認められるべきだ」と話した。
採決前には、無所属県民会議の井上航議員が反対討論に立った。(川野由起)

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