元阪神・藤田太陽監督、都市対抗野球出場 ノムさんに謝られた過去も

稲崎航一
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 第93回都市対抗野球大会が18日に東京ドームで開幕する。

 出場32チームで唯一の初出場が、今年創部10周年を迎えたロキテクノ富山(富山県上市町)だ。

 プロ野球阪神タイガース埼玉西武ライオンズなどで投手として活躍した藤田太陽監督(42)がチームを率いる。

 藤田監督は2000年秋のドラフト1位で阪神に入団したが、右ひじの手術や人気球団の重圧に苦しんだ。

 阪神では8年余で5勝にとどまったが、09年途中にトレードされた西武で花開く。

 10年には48試合に登板し、6勝3敗19ホールドとセットアッパーとしてよみがえった。

 引退後、15年からロキテクノ富山にコーチ兼投手として入り、20年末に監督に就いた。

 プロ時代に多くの指導者に出会った。その中でも印象深いのが、阪神に入団した当時の故野村克也監督の教えだ。

 「弱打者を強打者にしてはいけない」。野村監督のこの言葉を、選手を指導する際に話すという。

 1点もやれない九回無死満塁のようなピンチでは、普段警戒する必要のない8、9番打者でも強打者になってしまうとの意味だ。

 そして、そんなピンチは無駄な四死球絡みで招くことが多いのだという。

 野村さんとはもう一つ、思い出がある。

 西武に移籍し、ようやく活躍し始めていた09年。楽天戦の試合前、あいさつに行った。

 ベンチで記者に囲まれた野村監督が「活躍しとるやないか」と声をかけてくれた。

 その後、2人だけになって、頭を下げてくれた。

 「あのころは悪かったな。キャンプで投球モーションをいじってしまって」

 入団当初、2段モーションだった藤田さんに対し、投手コーチを通じて矯正を命じたのが野村監督だった。

 そこで迷いが出たことから悩み、右ひじの故障などにつながった。

 「ずっと嫌な思いがあったけど、あの言葉でモヤモヤが晴れた。もっと頑張らなきゃなと思えました」

 しみじみと振り返った。(稲崎航一)