流動食が18年続くみーくんに食べる喜びを 「形」になった母の願い

有料記事

編集委員・中島隆
[PR]

 5月26日。神戸市に住む杉本博美さん(55)は、この日を心待ちにしていた。午前11時、インターホンのチャイムが鳴った。

 博美さんはかつて、10トントラックで土砂を運ぶ仕事をしていた。助手席には、時々息子の稔(みのる)さん。学校に行きたくないとダダをこね、「みーくん、つかまっててよ~」。息子にそう言って、博美さんはトラックを走らせた。

 やんちゃな少年時代をへて息子は大人への道を歩んだ。

 2004年6月6日。食品の移動販売の仕事に就いた稔さんの20歳の誕生日まであと11日。ステーキで祝おう。博美さんはそう考えていた。電話が鳴った。稔さんが病院に運ばれた、という。駆けつけた。

 「稔、稔!」

 呼びかけても動かない。事故で頭を強打していた。手術で命はとりとめたが、脳挫傷などで上下四肢の機能が失われ、言葉も話せなくなった。寝たきりを宣告された。ベッドの上で動けなくなった息子を見て、博美さんは誓った。「みーくんは生きてくれる。私は一生、付き添う」

 おなかに管を通して栄養を取っていた。稔さんは口は動かせるが、食べ物をうまくのみ込めない。食べ物が気道に行くと、誤嚥(ごえん)性肺炎を起こす。だから、おなかから管なのだ。

 医師の許しを得て、博美さんは管を外してもらった。病院は、食事をムース状にするなど懸命に対応してくれた。

 2年の入院をへて、在宅に切り替えた。

稔さんに「形のままの料理」を食べさせたい。そう考えた博美さんが起こした行動とは――。

 博美さんと会社員の夫(46…

この記事は有料記事です。残り1043文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【10/18まで】有料記事読み放題のスタンダードコースが今なら2カ月間無料!