ノッカーは女子マネジャー、赤いバットで「集大成」 広島・国泰寺

辻健治
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 (9日、高校野球広島大会 高陽東14―0国泰寺)

 国泰寺のマネジャー大亀ひなたさん(3年)は、開会式直後のマツダスタジアムにお気に入りの赤いバットを持って、登場した。

 試合前のノック。レフト線のそばに立ち、味方の外野手に向けてノックを打つ。「飛べー!」。心の中で念じながら、約30球。鋭いライナー性の打球もあれば、打ち損じのフライもあった。

 「緊張したけど、めちゃくちゃ楽しかった」

 そう笑った。

 小4から野球に打ち込んできた。センターやセカンドを守り、中学では男子にまざって主将を務めた。

 勉強と両立しながら野球に携わりたいと国泰寺へ進んだ。

 国泰寺は、旧制広島中だった1915(大正4)年の第1回全国中等学校優勝野球大会全国高校野球選手権大会の前身)に出場し、鳥取中(現鳥取西)との開幕試合を戦った伝統校だ。

 効率良く練習をしようと、数年前からマネジャーもノックを打つようになったという。

 同学年の長田夏凜さんとともに練習でほぼ毎日、ノックを打ってきた。

 「打球が強い」「実践的なノックを打ってくれる」

 選手の評判も上々だった。

 広島大会の開幕試合に臨むことが決まると、大亀さんは原野敏成監督からサブノッカーに指名された。

 「僕から見てもノックが上手。打ち続けていたので手のひらはマメでごわごわしています」と原野監督。

 広島県高校野球連盟によると、女子が試合前のノックを打つのは珍しいという。

 大亀さんは「公式戦でのノッカーは初めてで、モチベーションが爆上がりしました」。

 赤いバットは昨年4月の誕生日に部員たちがプレゼントしてくれたもの。「集大成。このバットで打ちたかった」。しっかり振り込んで、この日に備えてきた。

 記録員としてベンチ入りした長田さんは、内野ノックの補助をしながら大亀さんがノックを打つ姿を見た。

 「ちゃんと打っていたから、さすがだな」

 春夏計3回の甲子園出場経験がある高陽東との一戦は、序盤から投手陣が相手打線につかまった。守備の乱れもあり五回コールドで敗れた。

 大亀さんはスタンドで試合を見届けた。「結果は残せなかったけど、今までみんなと一緒にやってきたことを思い出して達成感がある」

 笑顔で高校野球を終え、将来は体育の教師をめざす。いずれは高校野球の指導もしたいと考えている。(辻健治)