一緒に野球をした亡き父の言葉胸に 最後の打席で放った適時打
(9日、高校野球岐阜大会1回戦、岐阜東8―6八百津)
八百津は5点を追う九回裏、2死から連続四球と内野安打などで2得点し、岐阜東に3点差に迫った。
「欲張らずに次の打者につなごう」。4番で主将の森川空君(3年)が左打席に入った。
六、七回の好機では大振りになり、三振と内野ゴロに打ち取られた。「自分が打って流れをつくろうと意識しすぎた」と悔しさをにじませた。
その反省を生かし、内角低めの直球をコンパクトに振り抜いた。打球は右前にライナーで飛び、1点を追加した。後続も粘って満塁と攻めたが、あと1本が出ず、敗れた。
森川君はこの日、先発のマウンドを託された。一回の立ち上がり、変化球の制球が定まらず、連続スクイズで2点を失った。
捕手の西島陸斗君(3年)は「硬くなっていたので笑顔でプレーしよう」と森川君に声を掛けた。二回からは変化球を低めに集める持ち味の投球で無得点に抑えた。四回からはマウンドを譲った。
父親の毅さんの影響もあり、小学2年で野球を始めた。いつもキャッチボールの相手をしてくれた毅さんは今年3月、脳出血で62歳で亡くなった。
この日の応援席には母の真里子さん(44)と毅さんの遺影があった。九回に森川君が適時打を放つと真里子さんは飛び上がって喜んだ。
森川君は「いつも全力で応援してくれていた。勝利を届けたかったが、『最後まで全力でやり抜け』という父の言葉どおり、全力でやり切れた」と前を向き、「笑顔で支えてくれた母には『ありがとう』と言いたい」と話した。(東谷晃平、松永佳伸)
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