日本航空石川の4番・内藤が特大アーチ 体重100キロの巨漢三塁手
(10日、高校野球石川大会 日本航空石川10―1津幡)
全国屈指の強打者がいきなり一発を放った。
身長180センチ、体重100キロの巨漢三塁手。日本航空石川の4番内藤鵬(ほう、3年)だ。
五回の先頭打者。初球から狙っていた。高めのスライダーを引きつけて振り抜く。打球は中堅左のスタンド上段ではねた。あと少しで場外弾という特大アーチだった。
「打った瞬間、いったと思いました」。パワーとともに、修正能力を見せた一発でもあった。
相手投手の緩い球にてこずり、1打席目は三ゴロ、2打席目は二直。
他の打者が外野へ快打を飛ばすなかで、タイミングが合わず、いずれもバットの先っぽに当たった凡打だった。
「前に突っ込まないように」と意識して迎えた第3打席、見事にとらえた。
理想の選手に天性のホームランバッター、プロ野球西武の「おかわり君」こと中村剛也を挙げる。
以前は巨人・中田翔に憧れていたというが「力まずに遠くへ飛ばす、中村選手の打撃を動画で見て、まねをしたいと思った」。
これが高校通算53号で、公式戦では10本目。石川県内では、大リーグ・ヤンキースなどでプレーした星稜の松井秀喜が通算60本塁打とされ、この記録超えにも注目が集まる。
本人は「比べられるのはうれしいですけど、プレッシャーにもなります。記録より、勝つために打ちたい」と照れながら言った。
名古屋市出身。両親が中国人で、鵬という名は中国の伝説の鳥にちなんで名づけられた。
「自分もそういう伝説のような強い人になって、プロで長く活躍できる選手になりたい」。その夢のためにもチームを引っ張り、甲子園をめざす。(編集委員・稲崎航一)