出生率は東京の2倍超 岡山の「奇跡のまち」で記者が受けた逆質問

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久永隆一
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 目を疑った。<出生率2・95達成!>

 岡山県にある奈義町のホームページ。一番目立つところに、ドンとそんな数字が躍っていた。

 2019年のデータだった。この年の東京都(1・15)や大阪府(1・31)、愛知県(1・45)、福岡県(1・44)といった4大都市の2倍以上だ。

 この出生率は、正式には「合計特殊出生率」という。1人の女性が生涯に産む子どもの見込みの数を示す数字で、日本ではだいたい2・1を超えれば、人口が維持できるとされる。

 「何かを変えない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」

 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)のツイートでも話題になった少子化。

 日本全体の合計特殊出生率が、過去最低の1・26だった05年、奈義町も1・41に低迷していたが、今は3・0に迫る。子どもが減る日本の打開策を探りに、現地へ向かった。

「ここなら子ども2人、育てられそうだよね」

 岡山県の北東部にその町はあった。青々とした山並み。広い空、田んぼ、夏にはホタル。日本の田舎町という響きが似合う。都会の便利さとは距離がある。

 人口は6千人に満たない小さな町で、どうして出生率が高まったのか? 当事者の子育て世代の声を聞きに、「なぎチャイルドホーム」という場所を訪ねた。

 この日、小童谷(ひじや)美鶴(みつる)さん(42)が岳久(がく)ちゃん(2)と今年1歳になる心紅(ここ)ちゃんの2人を連れてきていた。

 部屋にはおもちゃがあり、親はスタッフに育児の相談をしたり、ほかの親と交流できたりする。子育て支援の施設だ。

 「この町なら子どもが2人い…

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