新車のにおいを見逃すな 「マイスター」の技はこう磨かれてきた
新車に乗った時、気になるのが車内のにおいです。日産自動車では、におい専門の担当者が、開発した新車に不快なにおいがないかを確認しています。車室内空気質テクニカルエキスパートの井野龍之介さん(46)の仕事ぶりに迫りました。
スッ、スッ、スッ。新車が置かれた実験室に、短く息を吸い込む音がきこえた。開発した車のにおいに異常がないかを確かめる。わずかなにおいも感じ取れるよう、吸い込んだ空気を鼻の中にためるのがコツ。舌で食べ物を転がして味わうように、においをかぐ。「みている人から、『井野は犬か』とよく言われる」
においを確認すると、3分ほどで車から降りた。車内のにおいに慣れないようにするためで、隣接する休憩室に移ると、何回か自分のひじを鼻に近づけた。「慣れ親しんだにおいをかぐことで気持ちをリセットする」。再び車に戻る。後部座席。天井。ダッシュボード。床。40分ほどかけて、同じ流れでにおいをかいでいく。
それだけでは終わらない。今度は、室内の気温を変える。においが出やすくなるのは夏場だ。天井には強い光を照射する装置があり、長時間暑さを保った状態で、どんなにおいがするのかも確かめる。
■体調管理、鼻のケアは入念に…
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