徳島県の投票率、また全国ワースト45.72% 知事「合区の弊害」

参院選2022

杉田基 今林弘 羽賀和紀
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 10日に投開票された参院選徳島県投票率(選挙区)は45・72%となり、3年前(38・59%)より7ポイント余り上昇したが、都道府県別では前回に続き全国で最も低かった。選挙区別では、徳島・高知は46・53%で、全国最低だった石川(46・41%)をわずかに上回った。

 県選挙管理委員会は、投票日が書かれたうちわを街頭で配ったり、コンビニのレジ画面で告知したりと啓発活動に努めてきた。3年前の投票率との比較では、全国で2番目に高い伸び率だったとして、担当者は「前回に比べると多くの方に足を運んでもらった。今後とも地道な取り組みをしていく」と語った。

 飯泉嘉門知事は「より多くの方々に関心を持って頂けるよう努める一方、引き続き合区の弊害を訴え、合区解消を強く要請して参りたい」とのコメントを出した。

 徳島・高知選挙区で3選を果たした自民現職の中西祐介氏は、11日に高知市内で開いた会見で、「都道府県で(投票率の)ランキングを競い合うことが大事ではなく、一人でも多くの人々が思いを候補者に託して頂くことが大事」と語った。

 合区制度の投票率への影響については、「合区は街頭で訴える機会が(選挙区が)広くなった分、薄まっている。この制度の弊害は言わずもがなだ」と話した。高知県は47・36%で前回(46・34%)を上回った。

 公示前に立候補予定者を招いた討論会を主催した徳島大のグループ「TYME」(Tokushima Youth Meeting for Elections)代表の安田結月さん(22)=総合科学部4年=は「若い世代で色んなアイデアを出してお祭りみたいな感じにしていけば、関心も高まるのではないか」と語った。(杉田基、今林弘)

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 10日に投開票された参院選徳島・高知選挙区(改選数1)で、朝日新聞社は徳島、高知両県内の計90カ所の投票所で投票を終えた有権者に投票先などを尋ねる出口調査を実施し、3446人から有効回答を得た。

 調査結果からは、3選を果たした自民現職の中西祐介氏(42)=公明推薦=が、幅広い層から支持を受けたことがわかる。

 徳島・高知選挙区には、中西氏のほか、いずれも新顔で維新の藤本健一氏(52)、国民の前田強氏(39)、NHK党の中島康治氏(43)、諸派で政治団体「参政党」の荒牧国晴氏(41)、共産の松本顕治氏(38)=社民支持=が立候補。当選した中西氏は、次点の松本氏に18万票余りの大差をつけており、野党候補は各政党支持層は固めたものの、候補者が乱立したことで政権への批判票が分散した形となった。

 中西氏は、男女とも5割超が支持したほか、世代別でも40代の59%を筆頭に各世代で6~4割が投票した。無党派層でも35%が中西氏を選んだ。一方で、松本、藤本、前田の3氏には、所属する政党支持層の9~6割が投票したが、他党支持層へは浸透しなかった。

 候補者擁立を断念した立憲の支持層は、45%が前回参院選で共闘した松本氏に投票したが、前田氏には18%、中西氏に14%、藤本氏に13%と他候補にも一定の票が流れていた。

 岸田内閣については、「支持する」が71%、「支持しない」は25%だった。不支持層の投票先は、松本氏31%、中西氏20%、藤本氏16%、前田氏13%で、政権への批判票は与野党を問わず各候補に分散したことが表れていた。

 また、争点の一つと位置づけられた物価高について、66%が投票する際に「考慮した」と回答。そのうち54%は中西氏を選び、松本氏(17%)、藤本氏(11%)、前田氏(9%)の主張は浸透しきれなかったと言えそうだ。(羽賀和紀)

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