僕らはともに「村上大介」 球児2人、出会って尋ねた「君の名は?」
(12日、高校野球福岡大会 九産大九州8―3香椎)
久留米市野球場(福岡県)の第2試合。スコアボード上の後攻、香椎の7番打者は「村上大9」と表示された。同姓同名で学年も同じ3年生の村上大介君が2人いるため、背番号が加えられた。部内では背番号8で右投げの村上君を「ダイスケ」、背番号9で左投げの村上君を「ムラダイ」と呼ぶのが主流という。
ダイスケ君は福岡県須恵町、ムラダイ君は新宮町在住で違う中学出身だが、出会いは中2の時にあった。ダイスケ君が少年野球の試合でブルペン捕手をしていたところ、ボールボーイをしていたムラダイ君が何げなく話しかけた。
「君の名は?」
それから2年後の春、同じ香椎高校野球部で顔を合わせ、2人とも「びっくりした」。ともに外野手を務め、冬場の厳しいノック練習は同じ班で汗を流した。
タイプは違う。ダイスケ君はチーム屈指の俊足で堅守。ムラダイ君は試合をつくれる投手としても評価が高い。ダイスケ君が「昨日投げてたね」などと間違えられることも度々あった。
この日はムラダイ君が先発し、変化球を生かして五回途中まで粘った。ダイスケ君は九回に代走として出場。フライが上がって本塁へ駆け抜けたが、左翼手が捕球してゲームセット。
村上大介君が投げて始まり、走って終わった試合。ダイスケ君が「最高の仲間だった」と言えば、ムラダイ君は「仲良く楽しく、良い出会いだった」。苦楽を共にした2人の縁は、卒業後も続いていく。(上月英興)