迫る巨大掘削機 また村が消える「脱原発」ドイツでいったいなにが?

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ドイツ西部リュッツェラート=野島淳
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 ある村が地上から消えようとしている。

 ドイツ西部ケルンから北西約40キロにあるリュッツェラート。

 最後に残った地主は、農業を営む50代後半の男性、エッカルト・ホイカンプさんだけだ。

 ホイカンプさんの自宅の古い木製の門扉は閉ざされている。

 色がはげ落ちたれんが造りの壁に、「リュッツェラートはとどまる」と書かれた黄色い布の大きな垂れ幕が風に揺れていた。

 自宅前を通り過ぎ、空き家が並ぶ場所に来ると、建物の中から男女2人の若者が出かけるところだった。

 軽くあいさつを交わし、「いつからここにいるの」と尋ねると、男性の表情がこわばった。

 警戒心をあらわに、「言いたくない」とつぶやいた。

 名前、どこから来て、なぜここにいるのか――。

 「全て話したくない。自分たちを守るためだから」

 ただ、別れ際に男性はこう言…

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