記録的大雨 仙台で16万世帯に避難指示
宮城県内では12日深夜から13日にかけ、大気の状態が不安定になり、降雨が続いた。仙台市では7月の1カ月の総雨量に迫る雨が24時間で降るなど記録的な大雨となり、同日夕までに約16万世帯32万人に避難指示を出した。大崎市でも河川が氾濫(はんらん)し、浸水した場所があった。
気象庁によると、同日午後7時までの24時間の降水量は、泉ケ岳(仙台市泉区)で189・0ミリ、加美町で170・5ミリとなり、7月の観測史上最大を更新した。仙台(同市宮城野区)は176・5ミリ。仙台と加美は、7月の平年の総雨量に迫るほどだった。
県河川課によると、大崎市古川地区では午前10時ごろ、大江川と田尻川から水があふれた。大江川流域の古川栄町~古川北稲葉では一時、まちの一部に浸水。田尻川流域では田んぼがつかった。古川栄町の大友つかよさん(79)は自宅前が冠水。避難の準備をしていたが、ひざ下まで水かさが増し、避難できなかった。その後、水は引いたが「まさかこんなに降るとは思わず、怖かった」と話した。
加美町上狼塚では午前8時40分ごろ、同町の40代女性が運転する軽乗用車が水路に落ちた。女性は救出され、けがはなかった。加美署によると、女性は町道を運転中、水路と道路の境が分からなくなり、ハンドル操作を誤ったという。
仙台市は、午後2時半までに、市内の土砂災害警戒区域などに避難指示を出した。避難指示は、5段階の警戒レベルで高い方から2番目の「4」にあたる。
泉区の七北田川では、七北田公園より上流で氾濫の恐れが高まり、洪水浸水想定区域に避難を指示。市内の対象者は、計15万9879世帯32万1584人に達した。
泉区の市立八乙女小学校の体育館には午後5時ごろ、住民3人が避難していた。小2の孫と一緒に避難していた近くの主婦(74)は「夜までここにいた方がいいか、息子夫婦と話し合うつもり。雨がやんでも地盤が緩んでいるだろうし、心配だ」と話した。名取市も一時、1万5500世帯4万1500人に避難指示を出した。
交通網も影響を受けた。JR東日本仙台支社によると陸羽東、仙山、東北、常磐、仙石、仙石東北の在来線6線の一部区間で運転を一時見合わせた。仙台空港発着の路線にも欠航が出た。(緑川夏生、三井新、福岡龍一郎、平川仁、武井風花、石橋英昭、池田良)
大雨による主な影響(13日午後6時まで)
7:15 JR陸羽東線の一部区間で運転見合わせ。ほかJR東日本の五つの在来線も一時運転を見合わせ
8:40 加美町で40代女性が運転する軽乗用車が水路に転落。女性は救出され、けがはなかった
10:00 大崎市内の大江川と田尻川が氾濫(はんらん)
11:20 仙台市が青葉、太白、泉3区内の一部で高齢者などへの避難を呼びかけ
12:30 仙台市が七北田川流域の一部洪水浸水想定区域に避難指示を発令
13:15 仙台市が青葉、宮城野、太白、泉4区内の土砂災害警戒区域などに避難指示を発令
13:30 岩沼市が市西部の志賀地区に避難指示を発令
14:30 仙台市が避難指示の範囲を若林区の土砂災害警戒区域などに拡大
16:30 名取市が市西部に避難指示を発令
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