高円寺のデモはバンド、居酒屋、DJ 「マヌケ」が楽しく生きる世界

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編集委員・近藤康太郎
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現場へ! 新しいアナーキスト④

 東京・高円寺の公園に集まってきたのは、長髪のバンドマン風、コスプレした女性。子供に、外国人の姿も目立った。

 高円寺再開発に反対するデモだが、ふつうのデモとぜんぜん違う。先導トラックの荷台にアンプを積んで、バンドが演奏する。酒やつまみを売る居酒屋トラック、DJトラックが続く。

 サウンドデモのスタイルで、発起人の松本哉(はじめ)(47)はリサイクル店「素人の乱」店主。ギミック(仕掛け、からくり)の天才だ。松本が仕掛けたものに「3人デモ」がある。サウンドデモが人気になり、警察の警備も過剰になったころ申請した、3人だけで歩くというデモ。いつものように厳重警戒の警察官が集まるなか、申請通り、ほんとうに松本ら3人だけ、散歩のようにとぼとぼ歩いた。

 「意表を突く。正面から闘ってもつぶされるだけだから」

 松本が闘っている相手はだれなのか。以前、聞いたことがある。「カネ持ち」。簡単すぎる答えで、正直、よく分からなかった。いまはなんとなく納得できる。「経済成長」「再開発」「安全安心な街づくり」。いろんな標語を掲げて、路上や広場など公共空間から、小商いの商店街から、自分たち「マヌケ」を追い出す社会に、抗議の闘いを続けている。

 「マヌケとはがんばらない人、かっこつけない人のこと。二流。いけてない人。そういうやつが楽しく生きられる世界がいちばんおもしろいでしょ」

 だから社会運動も嫌いだと言う。「○○主義はつまらない。中心ができるし、主義においてどれだけ自分が正しいか、賢さの競争になる。アナーキズム? 冗談じゃねえよ」

 中心を、権力を、支配を認めない。しかし、この考え方こそ、松本が嫌うアナーキズムそのものではないか。

 旧知の服飾デザイナー山下陽…

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