愛知県の海沿いに最新鋭の火力発電所が完成した。東京電力と中部電力が出資する火力発電会社JERAは14日、8月5日から営業運転を始めると明らかにした。原発1基分の発電能力があり、「電力不足」の緩和につながると期待される。ただ、主な燃料は二酸化炭素(CO2)を多く出す石炭で、「脱炭素」という別の課題が浮かび上がる。
稼働するのは、名古屋駅から南に約40キロの武豊火力発電所(愛知県武豊町)5号機。もともと3基のボイラーで発電していたが、老朽化のため取り壊し、4年ほどかけて大型の1基に建て替え、1月から試運転している。
14日に現地で開いた説明会で、石村雅士所長は「(電力の)安定供給に非常に貢献していける」と強調した。発電能力は107万キロワットで、火力発電所1基では国内最大級という。当初は3月から稼働する予定だったが、建設中に設備から発煙するトラブルが起きて先延ばししていた。
いま「電力不足」が大きな課題になっており、政府は7~9月、7年ぶりに全国規模の節電要請を出している。東京電力管内では6月下旬に需給逼迫(ひっぱく)の「注意報」も出た。冬はさらに厳しいと見込まれている。
稼働40年、不安定さ露呈
要因の一つが、発電量の7割…