高卒での就職を決めていた宇良 「母への直談判」で思い直し、関学へ
内田快
(大相撲名古屋場所5日目 ○宇良―●御嶽海)
懐に潜りながら御嶽海の右腕をつかみ、ひねった。華麗なとったりで会場を沸かせた宇良は、感情を込めて言った。
「少しだけ成長できたかなと思います」
学生時代は遠い存在だった元アマ横綱の同学年に、プロで初めて勝った。
中学時代、相撲から一時遠ざかったことがある。
「ぼくなんかでいいんですか」
中3の宇良は驚いた。当時は身長150センチ、体重50キロ。体が大きくならずに悩んでいたのに、「もし興味があるなら相撲部に来てほしい」と誘われたからだ。
声をかけたのは、京都・鳥羽高で相撲部監督だった田中英一さん(50、現朱雀高副校長)。小学生のころの宇良の姿が目に焼き付いていた。鳥羽高で開かれた子ども大会で、自分より大きい子を一生懸命押していた。大声であいさつする姿も印象に残った。
田中さんには経験則があった。
「子どもはいつ成長するかわからん。いつどう花が開くかわからん」
教え子に大リーガー 高校の恩師が重ねた成長
姿を重ねたのは、2年間担任した教え子だ。野球でレギュラーになれずに、ベンチに座っていた選手はのちに大リーガーとなった。
身長186センチ、体重88…