参院選遊説中に銃撃を受けて亡くなった自民党の安倍晋三元首相の「国葬」が今秋に行われる見通しとなった。吉田茂元首相以来となる形式だが、費用はすべて国費で賄うため、政府は行政訴訟のリスクも懸念した。しかし、国民や海外の首脳らの弔問が相次いでいる現状や、安倍氏に近い自民党議員らからの要望も強く、約55年ぶりの実施に踏み切ることにした。
岸田文雄首相は14日の記者会見で、安倍氏が憲政史上最長にわたって首相を務めたことのほか、「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、国内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられている」と説明し、理解を求めた。
安倍氏の死去後、政府は歴代首相経験者の葬儀の形式などを踏まえ、安倍氏の追悼のあり方を検討。首相経験者の葬儀では、1980年に死去した大平正芳元首相以降、「内閣・自民党合同葬」とすることが慣例だったが、自民党内からは「安倍氏の実績を考えれば、特別な追悼のあり方を考えるべきだ」との声が強まっていた。
ただ、「国葬」は費用の全額を国が負担する。このため政府内には、税金の使い道として疑義をもたれ、「行政訴訟を起こされるリスクもある」との懸念があった。自民党内にも「今の時代に国葬とするのは難しいだろう」との見方もあった。
一方、首相は国内外の反応を…
- 【解説】
岸田首相は、伝統的な「国葬」のニュアンスで語り、松野官房長官・木原官房副長官は、従来通りの功績ある首相を送る内閣・自民党合同葬程度のものという説明で火消しを図っているようです。 問題は、この内閣・自民党合同葬にあると私は考えています。
- 【視点】
首相経験者の国葬は吉田茂氏以来ということで、思わぬ形で安倍晋三氏との比較という論点を得たので、少し。 ともに毀誉褒貶がありますが、吉田氏の場合は後に吉田路線と呼ばれる戦後日本政治の礎を築いたという評価が、首相を辞めて13年後で天寿