米国兵も原爆で殺された 手弁当で調べた被爆者、抱きしめた大統領

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編集委員・副島英樹
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 2016年に広島を訪れたオバマ米大統領(当時)と抱き合う姿が世界に報じられた被爆者の森重昭さん(85)=広島市西区=が、大事にしてきた1枚の絵がある。富山県に住む女性から「もらって頂けますか」と贈られた30号の油彩画。森さんはこの夏、山口県にできる小さな私設記念館で展示してもらうことにした。「兆し」という画題に込められた意味は。

大統領はそっと抱き寄せた

 「ここで殺された米国人たちの家族を捜し出した男性がいました。なぜなら、彼は彼らの喪失は自分たちの喪失と等しいと信じていたからです」

 16年5月27日、原爆を投下した米国の現職大統領として初めて広島を訪れたオバマ氏は、平和記念公園での演説でこう述べた。

 米国側から招待され、来賓席で聞いていた森さんは「自分のことだ」と察した。

 「大統領は被爆米兵のことをわかってくれていた」

 1945年8月6日、広島には日本側の捕虜になっていた米兵たちがいた。

 森さんは長く、米兵の調査を手弁当で続けてきた。自国による原爆投下で亡くなった捕虜が12人にのぼることを調べ上げ、米国の遺族らに連絡をとってきた。自分も被爆した一人として「敵も味方もない」との一心からだった。

 演説を終えたオバマ氏と、言葉を交わす機会があった。涙ぐみ、言葉に詰まった森さんを、オバマ氏は黙って抱きしめた。

 森さんはこう振り返る。

 「遺族捜しの苦しかったこと…

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