ビル林立の都心、緑残る多摩 都内「ゼロカーボン」宣言自治体の戦略

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 2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすると宣言した自治体(ゼロカーボンシティ)が東京都内でも広がりを見せている。環境省のまとめでは、6月末で37区市村にのぼる。都心ゆえの工夫や、多摩の樹林地を守る取り組みなど、地域ごとの特色がにじむ。井上恵一朗

国と東京都の2050年までに「ゼロ」宣言

温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に基づき、菅義偉首相(当時)が2020年10月、国会の所信表明演説で表明。それまで80%削減としていたのを「ゼロ」とした。 都は19年12月、50年に向けた「ゼロエミッション東京戦略」を公表。昨年、30年までの目標数値を強化し、00年比の都内の温室効果ガス排出量を30%削減から50%に、エネルギー消費量を38%削減から50%に改めるなど「2030年カーボンハーフ」を打ち出した。

 オフィスビルが並ぶ新橋エリアの一角に、せり出したひさしの木材が目立つユニークな建物がある。今年1月に完成した地上12階建ての「銀泉西新橋ビル」。昨年3月、「ゼロカーボンシティ」を宣言した港区が長年取り組む国産木材の活用の一例だ。

 ひさしなどに使ったのは間伐材で、「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」を受けたオフィスビルだ。同ビルの担当者は「脱炭素を求めるお客様の声は多く、積極的にやろう、と設計してもらった」と話す。

 港区が認証制度を始めたのは2011年度。延べ床面積5千平方メートル以上の建築物をたてる場合、区と協定を結ぶ自治体の間伐材使用を促し、森林再生につなげる。区の担当課長は「都心でCO2の吸収源をつくるのは難しい。地方と協力して温暖化防止をめざす」。

 間伐材活用は森林再生だけでなく、焼却されないため、新たなCO2を出さないこと(固定)にもなる。協定自治体は全国79市町村に広がり、試算ではこれまでに5千トン相当のCO2を排出せずに済んだという。

多摩の森保全し、「区民の森」

 区はほかにも、CO2吸収源としてあきる野市で森林約22ヘクタールを借り受け、「みなと区民の森」として環境教育などに活用している。

 中央区は今年6月、東京電力パワーグリッドの銀座支社と「ゼロカーボンシティ」実現に向けた連携協定を結んだ。

 高層のオフィスビルが密集する区内。排出されるCO2の7割は、電力に起因する。省電力や再エネに効率的に取り組むため、電力会社のノウハウを活用する狙いという。

 目玉が「ZEB(ゼブ)」。「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略で、省エネ化と太陽光パネルなどの活用で電力消費の収支「ゼロ」をめざすビルだ。区の施設で大規模改修の際などにZEB化を進め、民間事業者にも新築や改築の際に導入を呼びかけるという。

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