AIで法律文書解釈、静岡大1位 国際法律文書処理コンテスト

長谷川智
[PR]

 人工知能(AI)を活用して法律関係の文章を解釈する国際コンテストで、静岡大情報学部の狩野芳伸准教授のチームが1位を獲得した。狩野准教授は「裁判の自動化を支援するなど多くの分野に応用できる技術。さらに高度にしたい」と話している。

 コンテストは主に欧米やアジアの大学が参加する「国際法律文書処理コンテスト」(COLIEE)。4部門あり、静大が優勝したのは、日本の司法試験(民法短答式)の問題を加工した部門だ。

 日本語と英語が用意され、コンピューターが文章を読んで解答した。日本、台湾、カナダなど6チームの18システムが参加したが、静大の正答率は67・89%で1位。2位は66・97%と小差だった。コンテストは2~4月にかけて実施された。

 単語を逐一解釈する古典的な自然言語処理システムと、大量の文書を記憶して学習させる大規模深層言語モデルを用いたシステムを併用した。勝因は試行錯誤をして両システムの長所を組み合わせ、精度を高めたためという。深層言語モデルは最近のAIの中核技術だ。

 研究メンバーの大学院修士1年の藤田真伎さん(23)は「私にとって3回目の挑戦だが、初の1位で努力が報われた。二つのシステムの融合に苦労した」という。情報学部4年生の翁長駿光さん(21)は「条文などを覚え込ませたので、自分も法律に詳しくなった」という。多い時は1日10時間程度取り組んだ。

 狩野准教授は、今回の技術を膨大な文書を読む必要がある分野で活用する研究をしている。裁判の証拠文書から重要な箇所を取り出して審理を支援する。医療では患者とのやりとりの記録から精神疾患を早く診断する。報道向けの発表資料から記事や見出しを作ったり、世論形成に影響した情報を分析したりすることも研究対象だ。

 狩野准教授は「AIはまだ人間には遠く及ばない。しかし、理論的には人間にできることはいずれできると考えている。できるだけ人間に近づけるよう研究を続ける」と話している。(長谷川智)