昨夏に判断ミスでサヨナラ負け 貫いた「挑戦」 香川西の立石選手

堅島敢太郎
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 17日、高校野球香川大会3回戦、四国学院大香川西3―4丸亀

 「天に回せ」。2点を追う七回表2死二塁。次打者席に立つ四国学院大香川西の4番、立石天君(3年)の耳には、自分を信じてくれる仲間の声が届いていた。直後、前の打者が五回に続き申告敬遠された。

 打とうと前のめりになって凡退した五回の失敗を踏まえ、「チームに勝ちを呼ぶ打撃をする」と決めた。2球目の外角のチェンジアップを右前に転がし、1点を返した。塁上でベンチの仲間を見ながら拳を突き上げた。

 今でも悔やむプレーがある。昨夏の小豆島中央との初戦。1点リードで迎えた九回裏2死一、二塁。右翼を守る立石君の手前に浅い飛球が飛んだ。「捕ったら終わる」。飛び込むも、グラブをかすめたボールが後方に転がる間に一塁走者も生還。判断ミスでサヨナラ負けを喫した。

 試合後、泣き崩れ、失意の底にいたが、先輩たちは「挑戦した結果だろ。絶対に挑戦をやめるな」と強く励ましてくれた。帽子のつばいっぱいに、ある言葉を記したのは、その翌日だった。冬場の山や神社での壮絶な走り込みも、あのときの敗戦を思い出し、乗り越えられた。

 そしてこの夏「あの球場、あの場所」に帰ってきた。高松との初戦では最初の打席で、嫌な思い出を吹き飛ばすかのような先制の適時三塁打を放った。

 この日は、1点を追う九回に再び打順が回ってきた。1年間心の支えにしてきた帽子を見つめ、打席に向かったが、右飛に打ち取られた。後続が好機を作るも一歩及ばなかった。

 整列を終え、力が抜けたようにベンチ前にしゃがみ込み、むせび泣いた。何度も涙をぬぐう左腕で握りしめていた帽子のつばの「挑戦」の2文字は薄くなっていた。(堅島敢太郎)