「野手か投手か」迷ったエース 元カープ達川さんの一言が転機に

松尾葉奈
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 (17日、第104回全国高校野球選手権広島大会2回戦、尾道商1―3尾道)

 相手スタンドが沸き立つなか、尾道商のエース山口遼太君(3年)はスコアボードの「2」を見つめた。1点リードの八回、無死一、二塁で投げた球は左越えの2点適時二塁打となり、逆転された。「みんなの思いを背負って投げたのに、抑えきれなかった」

 内野手も兼ねていた昨秋、転機が訪れた。「いい球を投げるから、投手だけでやればいいじゃないか」。練習を見にきた元広島カープの達川光男さんから声をかけられた。

 迷いはなくなった。「勝負してみよう」。背番号1という目標ができると、きつい練習にも耐えられた。試合後半まで投げきる体力をつけるため、走り込み、泳ぎ込んだ。それが精神面の強さにもつながり、今春の県大会からエースを任された。

 この日の相手、尾道はエースの坂本典優君(3年)が軸だ。「後半が勝負になるから、自分がゼロで抑えよう」。打たせてとる投球で七回まで1安打無失点。五回には自ら適時打を放って1点を先取した。

 だが、八回につかまった。投手戦に敗れ、相手の校歌を聴きながらうつむいた。「ふがいない負けだった。でも最後の夏、背番号1で戦えてよかった」(松尾葉奈)

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