ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャで、ロシア軍は多数の民間人を虐殺したとされています。そのなかでも、とりわけ残酷だったのが、町外れのイワナフランカ通りで5軒の11人が殺された出来事です。現地を訪ね、生き延びた住民や遺族に取材し、その実態と背景を探りました。

その時ブチャで何が ロシア兵も恐れない母、電話で泣き続けた3分間
 彼らはなぜ死ななければならなかったのか。ウクライナでの取材経験が豊富な国末憲人・ヨーロッパ総局長が町を歩き、一つ一つの家族の運命を追った配信記事の第1回です。

 ウクライナの首都キーウ(キエフ)郊外ブチャのイワナフランカ地区でロシア軍に惨殺された5軒11人のうち、ガブリリュク家は母オリガ(65)と娘イリーナ(46)らが避難して生き残った。一方、イリーナの夫で警備員のセルゲイ(47)、イリーナの弟の建築業ロマン(43)、この家に偶然滞在していた男性の3人が命を落とした。

 イリーナらが避難したのは3月5日だった。電気と暖房が止まり、生活が続けられないと判断し、砲撃が続くなかを徒歩で逃げた。

夫らは、ペットの世話のために残った

 ペットの犬や猫の世話のために自宅に残った夫や弟と連絡が取れたのは、その後、一度だけ。3月11日ごろ、「無事だから心配しないで。ただ、ロシア軍に犬を殺された」と電話があった。まもなく、夫と弟の姿は、近所の人の目からも消えた。

 ロシア軍が引き揚げて2日ほど…

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