イチローさんの教えは「逆」だった 迷い吹っ切れた一打、達成感に涙

近藤咲子
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(18日、高校野球千葉大会 市船橋8―1千葉明徳)

 千葉明徳の中軸、広瀬智也選手(3年)のチーム唯一の二塁打は、2人の教えから生まれた。春県優勝の市船橋に5点差をつけられた七回裏。「強く振りきろう」と打席に入った。

 ファウルになった初球に手応えを感じて、直球に狙いを定めた。3球目、内角真ん中甘めの直球を思い切り引っ張ると、打球は左中間へ。全力疾走し、二塁で高く拳を突き上げた。チーム初得点にもつながった。

 好機に打てないのが悩みで、打撃の不調は守備にも響いた。「夏の県8強の壁を越えたい」というチームのメッセージを受け、昨年12月に指導に訪れた元大リーガーのイチローさんにすがる思いでぶつけた。「広角に打ちたい。どうすればいいですか」

 イチローさんは「今は自分の長所を伸ばした方がいい」。得意な引っ張りを極めようと吹っ切れた。

 練習には元高校球児の父が付き合ってくれた。2人で近所のバッティングセンターに行っては10ゲームを打った。「当てにいくな。強く振れ」。父の助言を打席の前には必ず思い返すようになった。

 磨いた引っ張りで、この日は二回にも左前打を放った。チームは敗れたが、自身には達成感もあった。応援に来ていたクラスメートに「よくやったな」と球場の外で肩をたたかれた。

 初めて涙がこぼれた。=ゼットエー(近藤咲子)

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