天龍寺で座禅→履正社に粘投 阿武野の白石君が鍛えた上げたメンタル
(18日、高校野球大阪大会2回戦、履正社8―1阿武野)
七回裏1死三塁、コールド負けまであと2点。阿武野の先発、白石蒼空(そら)君(3年)は、履正社の4番が高く放った打球の行方を見つめた。「捕れる」と思ったが、そのまま左翼席へ突き刺さった。そのままマウンドを降りる白石君の表情は、笑っていた。
この日の白石君は強力打線の履正社を相手に、初回は3点を失うも、二回から六回までは2安打無失点に抑えた。それを可能にしたのは、チームの柱として鍛え上げたメンタルだった。
白石君は1年生の頃、渡辺剛士監督に言われた。「おまえはすぐ態度に出る。心が阿武野なんだ」。ミスを引きずる性格や、プレーのむらを指摘された。
昨年の新チーム結成では、主将とエースを一度に背負うことになった。「自分が揺らげばチームは負ける」。相手をよく観察してミスを避けるようにし、もしミスをしても「ごめん」と声を張り上げ、切り替える癖を身につけた。
メンタル強化の「総仕上げ」は、今大会の初戦を1週間後に控えた7日。京都の天龍寺までチームで行き、座禅を組んだ。
初戦は突破。「雑念が消えて1球ずつの集中力が増した」と感じたという。
ただ、この日の相手は優勝候補の一角、履正社。初回は力みが出て失点したが、また「ごめん」で切り替えた。「相手打線は縦の変化に弱い」と判断し、カーブやスライダーでフライを打ち上げさせた。
最後は力尽きたが、渡辺監督も「ベストピッチング」と認める力投だった。
試合後、応援席からねぎらいを受けた。「サヨナラホームランなら、逆に気持ちええわ」。曇りのない笑顔で球場を去った。(田添聖史)