「読み返したらがくぜん」翻訳家池田香代子さんが語る「動物会議」
松沢奈々子
第2次世界大戦が終結してまもない1949年に発表された絵本「動物会議」(岩波書店)は、だらだらと不毛な会議を繰り返し、いつまで経っても争いをやめない人間に、世界中の動物たちが立ち上がる物語。多くの児童文学作品を残したドイツの作家エーリヒ・ケストナー(1899~1974)は、ユーモラスな描写を通じて、人間の愚かさを批判し、一番大切な価値を子どもたちに伝えようとしました。新訳を手がけて以来、ケストナー作品と向き合ってきた池田香代子さんに、作家像と物語の魅力を聞きました。
「岩波の子どもの本」として出された「動物会議」(1954年刊)を読んだのは小学生の時。楽しくて、面白くて、何度も読んだり、読んでもらったりしました。
ずいぶん経って、1999年に出る大型本の新訳を頼まれました。「エーミールと探偵たち」「飛ぶ教室」など、これまで数多くのケストナー作品を翻訳してきましたが、一番最初に訳したのは「動物会議」です。
争い続ける人間に対し、動物たちが平和を訴える絵本「動物会議」。ドイツ語翻訳家・池田香代子さんは1999年に新訳を手がけた際、「大好きだけどがくぜんとした」と振り返ります。さらに池田さんには別の視点で気になったこともありました。
大好きな作品だけど、翻訳に…