TOTO本社工場、51年ぶり窯新設 トイレづくりもSDGs重視へ

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座小田英史
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 衛生陶器で国内最大手のTOTOが新しい戦略を打ち出している。製造過程では環境をより重視し、設備も更新している。

 北九州市にある本社・小倉第一工場で、51年ぶりに窯を新設した。陶器は土を焼いてつくる。窯はトイレづくりの心臓部だ。今月5日、初窯入れがあった。陶土から成形された洋式便器などがラインに乗って、ゆっくりと窯に入っていく。1200度で26時間かけて焼き上げる。窯の特徴は、耐熱性のある繊維素材のセラミックファイバーを使っていること。8月から本格稼働し、これまでのれんが窯は取り壊す。

 上席執行役員の山崎政男・衛陶生産本部長(59)は「窯の内部は熱効率の良いセラミックファイバーを利用しています。従来のれんが窯と比べ二酸化炭素の排出量を40%カットできます」と話す。年間約1400トンの二酸化炭素を削減できるという。

 SDGs(国連の持続可能な開発目標)の観点からも、環境対応が求められている。TOTOは2021年4月に「持続可能な社会」と「きれいで快適・健康な暮らし」をめざし、10年間の計画を立てた。窯の新設もその一環だ。山崎さんは「全社的にはまだ古い窯もありますが計画的に入れ替えていく」とする。

 使用時の環境負荷も抑えようとしている。TOTOテクニカルセンター(東京都渋谷区)では製品を事業者向けに公開している。最新鋭の「ネオレストNX」は節水が売りだ。広報は「水の流れを工夫し、陶器の表面を加工することで、1回の使用水量は1999年の製品の半分以下の3・8リットルですむ」と説明する。

 技術開発の歴史は長い。節水…

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    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2022年7月21日12時50分 投稿
    【視点】

     SDGsが出来る際に、トイレとサステナビリティの話しが色々なところで出てきました。最初は驚きましたが、聞いていくと、なるほど、トイレは色々な形でSDGs達成に貢献できます。健康や衛生に関係するのはもちろんのこと、この記事にあるように、水の

    …続きを読む