戦争の実相、実物資料で伝える 大分で「戦争の記憶」展

白石昌幸
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 太平洋戦争当時の実物資料を中心に、戦争の実相を伝える大分市歴史資料館の展示会「戦争の記憶」が始まった。戦争を経験した世代が減って体験の継承が難しくなり、戦争関係資料の散逸も危惧されていることから、市民から寄贈を受けた資料を中心にした展示会を企画した。

 展示は4章で構成。第1章は「戦時中のくらし」。真空管ラジオや映画ポスターなどの資料を通じ、太平洋戦争が始まって次第に国民の生活が苦しくなっていく様子を紹介する。第2章は「強まる戦時色」。戦争が長引く中で節約の強制や物不足の深刻化。一方で戦況を伝える新聞やラジオには、戦意を高めて国民を戦争へ駆り立てるような報道が目立ったと説明する。

 第3章「出征する兵士」では、徴兵検査や兵士ら約230万人が敗戦までに死亡したことなどを解説し、「必勝」の文字と出征兵士の名前が書かれた日の丸を展示している。

 第4章は「空襲を受けた大分市」。1945(昭和20)年3月、大分市が初めて米軍による空襲を受け、海軍航空隊の基地や軍用機の製造・整備を担う航空廠(しょう)などの軍事施設のほか、鉄道なども標的になった。特に同年7月16日夜半からの空襲では、焼夷(しょうい)弾約6千発が落とされて市中心部が焼き尽くされた。被害は死者49人、負傷者122人、全焼家屋2358戸にのぼったという。

 展示会を企画した同資料館の甲斐猛さんは、「日本が中国や米英と戦火を交えた時代に使われた物から、戦地に向かう兵隊の見送り、大分が受けた空襲のつめ痕など戦争の実相を紹介します」と来場を呼びかけている。

 9月5日まで。観覧料大人210円、高校生100円、中学生以下無料。8月7日午後2時からは、展示解説講座(定員30人、申し込み順)もある。問い合わせは市歴史資料館(097・549・0880)。(白石昌幸)

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