柳川・立花家の軍旗、想定より古い室町時代の作か 頼朝ゆかり伝承
柳川藩主・立花家の美術工芸品を収蔵する福岡県柳川市の立花家史料館が、家宝の軍旗を修復したと発表した。傷みが激しく研究が進んでいなかったが、修復に伴う調査で、想定より古い室町時代に作られた可能性が高いと分かった。立花家の歴史や軍旗の研究に役立つ貴重な資料で、24日まで一般公開している。
軍旗は源頼朝(1147~99)から授けられたとの伝承があり、「吉光の短刀」と「血染めの鉄扇」とともに「立花家の三器」とされる。
何度か複製されたとみられ、史料館には江戸時代の複製品(縦約3メートル、幅約40センチ)もある。だがこの軍旗は生地が絹織物で劣化が激しく、広げることもできない状態だった。
一方、新型コロナ禍による入館者激減で運営危機に陥った史料館は2020年12月、クラウドファンディングで寄付を募集。目標を上回る約2300万円が集まったことから、一部を長年の懸案だった軍旗の修復費に充てることにした。
掛け軸やびょうぶなどの名品の修復を手がける「半田九清堂」(東京)に依頼。作業は困難を極め、昨年1月から約1年を要したが、旗に記された文字や家紋が読めるまでに修復された。下部は切れてなくなっており、サイズは縦133・3センチ、幅40・4センチ。
修復の過程で繊維を使って実施した年代測定の結果は「1457~1525年」。頼朝の時代とは異なるが、史料館が想定していた戦国時代よりも古い室町時代に制作された可能性が高いと分かった。軍旗に描かれた家紋は、初代藩主・立花宗茂以降は使われていないデザインという。
植野かおり館長は「戦国時代以前の軍旗は珍しく、立花家や九州の歴史を探る宝として、さらに研究を進めたい」と話す。問い合わせは史料館(0944・77・7888)へ。(外尾誠)
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