ピンチの場面「俺らが守る」 テキサス生まれの投手が仲間と戦った夏
(19日、高校野球西東京大会3回戦、片倉0―7桜美林)
一回裏1死一、二塁。片倉の先発投手のジョンソン・マーカス太一(3年)はすでに2点を失い、マウンドで立ち尽くしていた。
2回目のタイム。ジョンソンのもとにチームの仲間が駆け寄った。「打たれても気にするな。俺らが守るから」。みんな笑顔だった。全員で声を合わせた。「立て直そう」
ジョンソンは身長182センチ、体重78キロと恵まれた体格。伸びのある直球が持ち味だ。11日の都武蔵戦では4回を投げ7奪三振。1人の走者も許さず、18―0の五回コールドで初戦を突破した。
米国テキサス州で生まれ、小学3年生から東京都福生市の少年チームで野球を始めた。高校入学時は最速110キロ程度だったが、高校では投球フォームを修正。走り込みと食事で体格も大きくなった。今年5月の練習試合では137キロと球速はアップ。宮本秀樹監督は「どんどん伸びて、どこまでうまくなるのか楽しみな選手だ」と話す。
この日は「勝ち」への強い思いが先走り、自信のある直球ばかりを投げて、狙い打たれた。初球から振ってくる相手にも圧倒され、普段の投球を見失っていた。
だが、マウンドに駆け寄ってきた仲間と話すと気持ちが落ち着いた。スライダーを織り交ぜる投球に切り替えた。二回以降は交代する六回まで1安打も許さず、無得点に抑えた。試合には敗れたが、仲間と戦った夏は大きな財産になった。=多摩市一本杉(比嘉展玖)
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