所得倍増ではなく「資産所得」倍増? 岸田首相の路線変更に何を思う

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聞き手・田中聡子 聞き手・岸善樹 聞き手・小村田義之
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 岸田文雄首相が打ち出した「資産所得倍増」。昨秋の自民党総裁選では「令和版所得倍増」を掲げていたのが、いつの間に「所得」が「資産所得」に化けたのか。その違いとは。

資産運用なんて遠い世界の話」と話す落語家の林家つる子さん、「『資産形成』という言葉が嫌いになった」という作家の羽田圭介さん、「賃金を上げずに『まず投資を』と呼びかけるのは、順番が逆です」と話す法政大学教授の白鳥浩さんの3人に、「資産所得倍増」について話を聞きました。

使えるネタだな 林家つる子さん(落語家)

 「所得倍増」と聞いた時、単純な私は「給料2倍」だと思って「いいぞ」と期待してしまいました。ところが、「いやいや、資産所得倍増ですよ」と来た。「だまされた」と自分の愚かさを嘆きつつも、「なんて落語らしい出来事なんだろう」「使えるネタだな」と感心している自分もいます。

 思い出すのは、「日和(ひより)違い」という落語です。天気を尋ねられた占師が「今日は降るような天気じゃない」と言う。それを聞いた人が安心して、傘を持たずに出かけると、土砂降りになってしまう。ずぶぬれになって、占師に文句を言いに行くんです。すると、占師は「今日は降るような天気じゃない?と言ったんですよ」と。「やられた」と文句を言わずに帰るのですが、今回の「所得倍増」も、占師が政治家に置き換わったようなものですね。「そうか、向こうはそういうつもりだったのか」とこっちは一杯食わされた気分です。

 落語には、お上への不満をネタにした話がたくさんあります。身分制度があった江戸時代、幕府や侍への不満が募っていた民衆たちの怒りがあった。落語の中では、間抜けな侍を笑ったり、懲らしめたりして、みんなで怒りを笑いに昇華させていました。落語は立場を逆転させることができるんです。

 今回、私たちは言葉を巧みに…

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