• アピタル

「常にぎりぎり…」医師ら襲う感染拡大 救急外来受け入れ停止相次ぐ

新型コロナウイルス

高橋俊成 林義則 吉沢英将
[PR]

 新型コロナウイルス感染の急拡大で、救急医療にも影響が及んでいる。

 三重県尾鷲市の尾鷲総合病院では今月9日と10日に医師6人のコロナ感染が判明。その後も看護師や入院患者らが次々と感染し、16日までに病院関係者計17人に感染が広がった。

 病院は二次救急医療機関で、救急や手術を担う地域医療の要所だ。しかし、9日以降、救急外来を停止。外科や内科などの初診受け入れもストップした。

 元々、慢性的に医師が不足しており、7月から内科の常勤医が6人から4人に減った矢先に集団感染が襲った。「常に病院の体制はぎりぎり。そこにこうしたアクシデントが起これば影響は大きい」と高浜宏之・病院総務課長は話す。

 検査で医師たちの陰性を確認し、救急外来は20日夕方から再開した。しかし、この間、救急患者は約80キロ離れた同県松阪市などの病院への搬送を余儀なくされた。

 地域の高齢化率は約43%(2020年国勢調査)で、県平均の約30%を上回る。通院中の尾鷲市の女性(76)は、「高齢者はこの時期、熱中症などの危険性もあるので救急が停止するのは不安。病院は無くてはならない存在だ」と話す。

 高浜課長は「人手不足の中で役割をどう果たしていくか。やれることをやらないといけない」という。

 青森県十和田市立中央病院でも、スタッフの感染が相次ぎ、12日までに医師16人を含む計28人に達した。このため、19日朝まで救急車の受け入れを大半の診療科で中止。外来も七つの診療科で新患受け入れを停止した。

 感染者が激増したことで、救急の受け入れが難しくなっているのは、全国的な傾向だ。総務省消防庁は20日、救急患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が、17日までの1週間に4139件あったと発表した。前週と比べ1252件(43%)増えた。

 これまでの最多は、第6波のさなかだった2月14~20日の6064件。同庁によると、今回の4139件のうち、コロナ感染が疑われる患者の搬送困難事案は1598件だった。(高橋俊成、林義則、吉沢英将)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料
新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]