職員ら160人「裁判なく殺害」 国連報告書、タリバンは否定

カブール=石原孝
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 国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は20日、アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが昨年8月にガニ政権を崩壊させた後、ガニ政権の職員や治安部隊の隊員ら少なくとも160人が裁判なしで殺害されたとの報告書を発表した。ガニ政権側への報復行為の可能性があるが、タリバン暫定政権は「報告書は事実ではない」と反発している。

 今回の報告書では、政権崩壊が起きた昨年8月15日から今年6月15日にかけて、民間人の死者が700人、負傷者が1406人に上ったとも指摘。多くは過激派組織「イスラム国」(IS)の現地勢力の攻撃によるものだという。

 タリバン側は銃を持った戦闘員を国内各地に配置するなどして、「治安は改善した」と主張している。米国などが支援してきた旧政権時代の2020年には、戦闘行為や空爆などで約3千人の民間人の死者が出ていた。

 一方、報告書によると、タリバン支配下では根拠が明らかでない拘束や拷問も一部で行われてきたという。タリバンは女性の就労を制限し、中高生年代の女子生徒の通学も認めていない。UNAMAは「全てのアフガニスタン人の人権を保護し、促進するという国際的な義務を果たすため、全力を尽くすよう求める」としている。(カブール=石原孝

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