星稜に引けを取らない遊学館 憧れて入った福田君、接戦演じる力投
1点を追う五回裏、2死一、二塁。遊学館のエース福田碧輝(あいき)(3年)は、「絶対に初球から振ろう」と強い気持ちで打席に立った。初球、真ん中高めの直球がきた。思いっきり振り切った。二遊間を抜ける同点打となった。
中学3年のとき、エースで臨んだ最後の大会で、星稜中に1点差で惜敗した。その年、夏の石川大会で奥川恭伸(現ヤクルト)を擁する星稜に、引けを取らない遊学館に魅力を感じた。「遊学館なら星稜に勝てる」。打倒星稜を胸に入学を決意した。
今大会の直前、背番号1が渡された。昨秋から今春にかけ、ずっと架谷(はさたに)岳(3年)がエースだった。それだけに「絶対に自分が抑えて甲子園に行ってやる」と決意した。そして、同じ背番号1をつけて、あの日の雪辱を果たす機会を得た。
この日、三回から登板し、好投を続けていた。だが、九回、2死一、二塁での初球、直球が甘めに入り、右前に運ばれた。
「ごめん」。ベンチで仲間に告げると、「この回で点を取るから延長の準備をしとけ」と言われた。信じて投球練習をしていた。だが、切磋琢磨(せっさたくま)してきた架谷のバットが空を切り、試合が終わった。雪辱は果たせなかったが、3年間で成長することはできた。そう思っている。(敬称略)(マハール有仁州)
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