子どもたちに人気のキャスターボード、安全に楽しく遊ぶコツを聞いた

田中祐也
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 スケートボードに似た「キャスターボード」が、子どもたちに人気です。体を左右にひねりながら前に進む遊具ですが、けがのリスクもあるようです。外遊びの機会が増える夏休み。安全に乗るために必要なことを考えました。

 7月中旬、大阪市天王寺区の公園で、近くに住む小学2年の渡辺潤君(8)がキャスターボードで遊んでいた。体をくねらせながら前へ進む。「ゆらゆらとバランスを取るゲームみたいで楽しい」と笑顔を見せた。転倒して地面でお尻と手を打ったが、けがはなかった。

 渡辺君はヘルメットをかぶり、ひじと手首とひざにプロテクターをつけていた。母の梨紗さん(39)は「万が一に備えて必ずつけさせています」と話した。

 スケートボードは1枚の板に四つの車輪(ウィール)が付いているのに対して、キャスターボードは前後2枚のボードがパイプでつながれ、それぞれに車輪が一つずつ付いている。アメリカで人気を呼び、2008年に日本で輸入販売されると、「遊びながらバランス感覚が磨かれる」と口コミで広がった。国内では「リップスティック」というブランドで売られている。一時流通した「ブレイブボード」というブランドは現在、販売されていない。

 子どもでも気軽に楽しめる遊具だが、一歩間違えるとけがにつながることもある。

 大津市では6月に死亡事故が起きた。滋賀県警大津署によると、小学5年の男児がキャスターボードで遊んでいて、照明ポールにぶつかったとみられるという。

 消費者庁は昨年、10年12月から21年11月までのキャスターボードを含むスケートボード類の事故件数を公表した。医療機関からの230件の報告の中で、キャスターボードは64件。約6割にあたる40件が骨折だった。

 日本キャスターボード協会(東京都)の代表理事、成田童夢(どうむ)さん(36)は「けがの防止には防具をつける、定期的なメンテナンスの二つが大事」と指摘する。忘れがちなのが車輪のメンテナンスだ。後輪は劣化しやすく、表面が傷つくとバランスがとりにくくなる。「消耗品だと思って、気になったら交換してほしい」

 成田さんは06年トリノ五輪スノーボードハーフパイプ日本代表。スノーボードの動きに近いキャスターボードをオフシーズンの練習に取り入れてきた。

 安全な場所で遊ぶことも大切だ。消費者庁によると、事故の約3割が道路で起きた。だが、キャスターボードの遊び場がない、との声も成田さんの元に届く。スケートボードが禁止される公園では、キャスターボードも同様とされることがあるためだ。消費者庁は啓発のチラシで「乗っていい場所をおとなと一緒にさがしましょう」と呼びかけている。

 成田さんは「スケートボードと違って音も静かで、スピードも出にくい」と訴える。協会として、利用が認められるように交渉している公園もある。成田さんは「子どもの体力づくりにぴったり。もっと広めていきたい」という。

 子どもたちを対象にした乗り方教室では、大人も乗ってほしいと伝えている。「親の世代にはなかった乗り物。乗ってみると楽しさも危険性もわかる。何より子どもとのコミュニケーションにもつながります」田中祐也