甲子園へあと1人、変化球のサインに首振った 能代松陽のエース三浦

井上潜、北上田剛
[PR]

 (21日、高校野球秋田大会決勝、秋田南3―6能代松陽)

 あと1人で甲子園の切符を手にできる場面。能代松陽のエース三浦凌輔君(3年)は「チームで一番信頼している」という主将で捕手の田中元輝君(3年)のサインに首を振った。

 「最後はストレートで三振を取りたい」

 変化球のサインを出していた田中君も、エースのその思いに応えた。狙い通り、最後の打者を直球で三振に打ち取った。

 シード校として臨んだ今大会。決して楽な勝ち上がりではなかった。準々決勝までの3試合で三浦君が投じた球数は297球。準々、準決勝と先制点を奪われる戦いが続いた。準決勝ではそれまでの連投の疲労が出て六回で降板。自ら監督に「もう投げるのは厳しいです」と申し出た。その裏に味方が逆転し、たどりついた決勝戦。「最後まで自分が投げきるつもりだった」と気合が入っていた。

 「準決勝より球は走っている」。スタンドでは、父親の敏彦さん(53)が見守っていた。いつも週末の練習試合に夫婦で駆けつけ、動画を撮って下宿する息子に送った。「週末が楽しみで、仕事も頑張れた」

 だが、三浦君は大会前、エースの重圧を感じているようだった。「前のフォーム忘れた」「野手を目指そうかな」と弱気なメッセージも届いていた。

 心配していたが、この日、背番号1はマウンドで躍動した。「幼い時から、引っ込み思案な子。良い仲間と巡り合えて、こんな姿、想像できなかった」

 最後の打者を打ち取ると、三浦君は駆け寄った田中捕手に抱きかかえられ、喜びを爆発させた。ベンチから駆けだした仲間たちも加わった輪が、マウンドで大きくなった。

 「自分がゼロで抑えれば勝てるチーム。まっすぐ(直球)をもっと磨き、変化球の精度も上げたい」(井上潜、北上田剛)