ごっつあんではなく食事提供 力士の卵の高校生が自主トレ中にお手柄

野口駿
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 夜間に行方不明になっていた小学生を保護したとして、埼玉県警は21日、埼玉栄高校の相撲部員4人に感謝状を贈った。埼玉栄は多数の幕内力士を輩出してきた相撲の強豪校で、4人のうち3人も角界入りが内定済み。今回は自主トレーニング中の出来事だったといい、4人は「役に立ててうれしい」「保護できてよかった」と喜んだ。

 お手柄だったのは、寮生活を送る高山瞬佑さん(3年)、鶴叶翔(かなと)さん(同)、根岸康介さん(同)、伊賀慎之助(ちかのすけ)さん(2年)。

 4人によると、高山さんと伊賀さんが学校近くの公園で腕立て伏せをしていた16日午後8時半過ぎ、小学生くらいの男児が1人で歩いているのに気づいた。周囲を見回したが、保護者のような大人はいなかった。

 男児から話しかけられた高山さんは会話の中で、男児が単独行動をしていると確認した。「1人にしては危ない」と考え、男児を学校の道場に連れて行った。そこにいた鶴さんと根岸さんとも話し合い、警察に連れて行くことを決めた。

 最寄りの大宮西署までは直線距離で約2キロ。徒歩で向かう途中、男児が「おなかがすいた」と言い始めた。根岸さんが自腹を切ってコンビニでおにぎりなどを買い、男児に食べさせた。

 間もなく雨が降り始めると、持っていた傘を男の子に使わせた。全国大会を控えた高山さんは帰宅し、ほかの3人がびしょぬれになりながら男児に付き添った。

 男児は署で保護され、すぐに家族の元に返された。近くに住む小学5年生だった。この日の朝に家を出たまま、迷子になり、保護者が警察官と行方を捜していた。感謝状を贈った大宮西署の市川弘明署長は「事件や事故に巻き込まれてもおかしくなかった」とし、「和と力をもって人助けを実践した」とたたえた。

 卒業後に武隈部屋に入る高山さんは感謝状を受け取り、「とてもドキドキしたが、安心した」と話した。同じく武隈部屋入りが決まっている根岸さんは「思いやりを大切にしようという相撲部の先生の教えが生きた」、藤島部屋に進む鶴さんは「男の子が無事にお母さんに会えて良かった。いいことができた」と笑った。伊賀さんは「先輩たちみたいに、すぐに判断ができるようになりたい」と力を込めた。(野口駿)