「夢は後輩たちが継いでくれる」 涙をふいた郡山北工のエース阿部君

斎藤徹
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 (21日、高校野球福島大会 田村7―5郡山北工)

 郡山北工の背番号1、阿部雅史(3年)は2点を追う六回、先発の渡辺健太(3年)からマウンドを引き継いだ。

 長い手足を駆使した投球が持ち味。だが、この日は制球が定まらず、四球で出した打者を犠打や失策でかえされる苦しい投球が続き、七、八回と点差を広げられた。

 春の大会で腰を痛めたが、長いイニングを投げても制球を乱さないようにするため、ブルペンに入る回数を週1回から週3~4回に増やした。けがが完治しないまま夏を迎えたが、練習の成果は出た。3回戦ではシード校の福島商を相手に完投勝利を収めた。

 だが、この日は疲労などで万全の状態にはほど遠かった。福田俊彦監督は「病院に通いながら大会に参加していた」と明かす。

 それでも九回を三者凡退に封じ、チームは最後に1点をかえす粘りを見せた。

 試合後は泣き崩れ、仲間に抱えられてグラウンドを後にした阿部。「今日は試合に集中していたから痛みは感じませんでした」と言い訳は口にしなかった。

 「野球は私に多くの大切なことを教えてくれた。ベスト16の壁は今年も突破できませんでしたが、私たちの夢は後輩たちが継いでくれると思います」。こう律義に話し、涙をふいた。(斎藤徹)

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