第4回絶滅危惧種を食べ続けていいですか? ウナギの未来、専門家の答えは

有料記事

聞き手・前川浩之
[PR]

 日本人が大好きなニホンウナギを、このまま専門店で、ファミレスで、コンビニで食べ続けていいのでしょうか。ウナギの資源管理に詳しい海部健三・中央大学教授(48)に聞きました。

 1973年生まれ。中央大学法学部教授。農学博士。専門は保全生態学。国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会のメンバーで、著書に「結局、ウナギは食べていいのか問題」(岩波書店)など。

 ――日本で食べられるウナギのほとんどはニホンウナギです。絶滅の恐れがあるということは、科学的に資源量が減っていると言えるのでしょうか。

 ニホンウナギは日本や中国など東アジアの川に分散して生息し、マリアナ諸島付近の産卵場に戻って産卵し、また分散して川に入ることを繰り返す生態で、その数を推測するのはとても難しい。複数地点のデータに基づいて、シラスウナギ(稚魚)、成育場の天然ウナギがともに減少傾向にあることが確認できたので、国際自然保護連合(IUCN)は絶滅危惧種に区分しました。ニホンウナギは減っていると言えます。

「どれだけ生き残らせるか」に転換を

 ――ニホンウナギは人工的に孵化(ふか)させる技術が実用化されておらず、我々が食べる養殖ウナギも天然のシラスウナギ(稚魚)を育てたもので、天然資源に依存しています。日本と中国、韓国、台湾の4カ国・地域は、養殖池に入れるシラスウナギを14年比で20%減に抑える国際的な資源管理を続けています。

 ニホンウナギの減少要因のうち、人間が対応できるのは過剰な消費と生育環境の劣化の二つです。4カ国・地域は養殖池に入れられる稚魚の量を制限していますが、その方法による管理は、消費の中のさらに「養殖用に採捕される稚魚」という、ウナギが直面する脅威のごく一部分に着目したものでしかありません。

 日本では天然ウナギ漁も盛んで人気もある。川の環境の劣化も大きな影響を与えています。このため、仮に池入れ量を守っても、持続的に利用できると言える科学的根拠はありません。例えば岡山県では、20年近く前からシラスウナギ採捕が許可されていないにもかかわらず、天然ウナギは減少を続けています。

 ――どんな資源管理が求められるのでしょう。

 現在の池入れ量管理は「これだけなら食べてもいい」という発想ですが、これを「どのくらい生き残らせるか」という考え方に根本的に変えるべきです。

法制定15年 欧州のウナギ事情

 ウナギは人間のそばで生活し…

この記事は有料記事です。残り2356文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません