第123回ロシアの侵攻に「ノー」と言わない国々 突き動かす英雄たちの遺訓

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カイロ=武石英史郎
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 ロシアによるウクライナ侵攻に対して、ロシアを批判せず、距離を置こうとする国が目立ちます。なぜなのか。開発途上国の立場から長く外交の第一線に身を置いてきたエジプトの元外務次官フセイン・ハリディ氏は「多くの国が、この戦争を欧米とは違う目で見ている」と指摘します。どういうことなのでしょうか。

ウクライナは民主主義守る戦いか?

 ――ウクライナ侵攻を止める早道は、国際社会が一致して、ロシアに「ノー」を突きつけることだと思います。国連総会の対ロシア非難決議には、エジプトを含む141カ国が賛成したものの、特に途上国の間ではその後、ロシア批判があまり聞こえてきません。なぜなのでしょうか。

 この戦争は悲劇で、まったく不要な戦いだと思います。ウクライナの街が破壊され、双方の兵士が死んでいく。この戦争に勝者はないし、戦争によってロシアとウクライナの間に横たわる問題を解決できるとは思えません。この戦争で痛みを感じるのは、長く紛争に苦しんできた「第三世界」の国々なら、なおさらです。

 ただ、私たちはこの戦争を欧米が言うような「ウクライナの独立や民主主義、人権を守るための戦い」だとは見ていません。2003年のイラク戦争で学びました。民主主義、人権、自由の名の下に米国が始めた戦争は、結局イラクと中東の破壊だった。いま、そのつけを払っているのは中東の私たちです。

 同じことが今、ウクライナで繰り返されています。ウクライナを支援すると言って、武器をどんどん送り込み、その結果、国土がどんどん破壊されていく。欧米はウクライナを犠牲にして、ロシアと戦っています。

Hussein Haridi エジプトの元外交官。駐スペイン大使、駐パキスタン大使などを経て、外務次官(アジア担当)を務めた。1949年生まれ。

 ――ウクライナを支援する欧米の真意は何だと考えているのですか。

 第一にロシアを弱らせること…

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