ぬるっと山なりスローボール、強力打線を翻弄 小川・田中投手

比嘉展玖
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(21日、高校野球西東京大会4回戦、小川0―10東海大菅生)

 「やってやった」。田中遼大投手(2年)は、四回裏終了後、ベンチに戻りながら、舌をぺろっと出し、にやりと笑った。

 四回裏、打席には東海大菅生の4番打者小池祐吏(3年)を迎えた。小池には三回裏に外角の緩いカーブを左翼席に放り込まれていた。「正直怖かった。でも攻め気で投げよう」

 盗塁を許し、2死二、三塁のピンチ。緩い球を見せつつ、9球目は内角高めの直球で勝負すると、小池のバットは空を切った。

 思わずガッツポーズ。次打者も三振に抑え、2者連続三振でピンチを切り抜けた。ベンチからはチームの仲間が飛び出してきて声を上げた。「やったな!」。 林はベンチに戻りながら思わず舌が出た。「昔からの癖で。うれしいとつい出ちゃうんです」

 田中の決め球は直球。だが最速は124キロと速くはない。スライダーとカーブを織り交ぜた緩急つけた配球で、これまで多くの打者を抑えてきた。今春から山なりのぬるっとしたスローボールも取り入れた。緩い球に昨夏の覇者、東海大菅生の打線も翻弄(ほんろう)された。

 小川は一昨年の秋季大会1次予選で東海大菅生に0―21で敗れている。当時1年だった主将の林遥人(3年)は「相手が強豪校なのは身をもって知っている。だけど田中ならやってくれると思った」と話す。

 初のベスト16進出とはならなかったが、林主将は「後輩には突っ走ってもらいたい」と思いを託した。まだ2年の田中は来年を見据える。「もっと成長して五分五分の試合がしたい」=スリーボンド八王子(比嘉展玖)

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