学歴「小卒」80万人 ひきこもり10年の男性が夜間中学に見た光
国の調査で、最終学歴が「小学校卒業」という人が全国で80万人を超えることが初めて明らかになった。こうした人たちが学び直す場となっているのが、夜間中学だ。国は目標を掲げて設置を進めているが、達成は見通せていない。
「あなたは、何時にお風呂に入りますか」。先生が尋ねると、指された生徒は「私は、朝1時に入ります」と答えた。「朝、はおかしいですね」と指摘されると、「午前1時に入ります」と言い直した。
6月末、日が傾き始める午後6時前。林立するマンションに囲まれた東京都世田谷区立三宿中学校の一室で、夜間学級の「日本語」の授業が行われていた。
日本のほか、中国、ネパールなど計8カ国の30人が学ぶ。年齢は10~40代。日本語の習熟度に応じて、各教科を学ぶ通常学級と、日本語を重点的に学ぶ学級の計9クラスに分かれる。
都内の30代男性は今春、門をくぐった。持病があり、小学校から休みがち。勉強についていくのが大変だった。中1の2学期には家庭のトラブルが重なり、完全に不登校になった。
人と話すのが苦手で、家にこもる生活が十数年続いた。ただ、共働きの年老いた両親もいつまで働けるか分からない。「自分が仕事をしなくては」。職業訓練校のパンフレットを手に取ったが、壁は筆記試験だった。中学卒業程度とされる例題に歯が立たなかった。
そこで親戚から紹介されたの…