消えた郵便貯金「復活審査」の実態、ゆうちょベテラン行員が問題提起

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藤田知也
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 ゆうちょ銀行の「社長直通意見箱」に昨年3月、A4判9ページの文書が届いた。差出人は同行のベテラン行員で、タイトルは「民間金融機関として改善すべき項目について」。要望項目の一つが、民営化前の郵便貯金が続々と消滅していく問題だった。

 民営化前の2007年9月までに預けられた貯金のうち、定額貯金などは満期から20年2カ月がたつと、貯金者の権利が消える。旧郵便貯金法がそう定めているためで、消滅額は22年3月期に457億円に達している。

 文書は、民間銀行では預金がなくならないことも踏まえ、旧郵便貯金法が「時代遅れ」と指摘。多くの顧客が大切なお金を法律も知らずに預けているとし、「一方的で納得感のない制度として現存している」と批判。制度や審査体制の見直しを求めている。

 文書を送った行員は、事務統括部に在籍経験があり、消えた貯金の「復活審査」を担当していた。消滅した貯金の返還を求められた際に、権利の復活を認めるかを審査する業務だ。認知症の貯金者の家族の苦情をきっかけに11年から始めたもので、数人の担当者が年600~1千件程度を審査している。

「預けたお金が消えるのは信じられない」

 民営化前の貯金を管理する郵…

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