マニュアル車、「今が最後」 人気急騰 クラッチは悲しみも切り離す

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千葉卓朗、神山純一
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 エンジン車ならではのマニュアル(MT)車に、駆け込み需要が起きている。電動車へのシフトが予想されており、買うなら今が最後のチャンスかもしれないからだ。エンストすることがあり、坂道発進も難しい。それでも手動操作でしか味わえない「走る喜び」を求める人たちがいる。(千葉卓朗、神山純一)

悲しみを切り離す、2千回転のクラッチ

 神奈川県相模原市から山梨県山中湖に至る国道413号、通称「道志みち」。カーブと起伏が数十キロ続く峠道を、6速MTの愛車マツダ「ロードスター」でドライブするのが、神奈川県海老名市に住む自営業の渋谷陽一さん(41)の一番の楽しみだ。

 右足でアクセルを踏み込むとエンジンがうなり、回転数が跳ね上がる。運転席正面のタコメーター(回転速度計)の針が2千回転を超えたら、瞬時に左足でクラッチを踏み、左手でシフトレバーを2速から3速に切り替える。クラッチを離し、ギアがつながった瞬間、エンジンの力を受けて伸びるように加速する。「MTでしか味わえない気持ちよさです」

 7年前に結婚し、オートマチック(AT)のスポーツ用多目的車を購入。夫婦ともアウトドア好きで、休日は八ケ岳や山中湖に出かけた。「運転自体が楽しい」と感じ、様々な車をレンタルしてドライブするのが趣味になった。

 1年前、いつも一緒だった妻が、ガンで亡くなった。心にぽっかりと開いた穴を埋めたのは、運転だった。

 ハンドルを握る時間だけは悲…

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