第1回秘書の瀬尾まなほさんが語る 寂聴さんのおちゃめで好奇心旺盛な日常
①瀬尾まなほさんに聞く
瀬戸内寂聴さんが2021年11月9日に99歳で亡くなってから8カ月余り。お別れの会が7月26日、東京で開かれた。生きていれば100歳だった寂聴さんは愛に生き、多くの人に愛された。最期をみとった秘書の瀬尾まなほさん(34)に寂聴さんの素顔を聞いた。
連載「寂聴 愛された日々」はこちらから
瀬戸内寂聴さんにゆかりがある方々に、知られざるエピソードを語ってもらいます。秘書の瀬尾まなほさんのお話を計10回にわたって掲載します。
――男性中心の文壇で、ペン1本で生きてきた強さは何だったのでしょうか。
女性作家として、一人で生きていくことは、今よりも、ものすごく難しい時代でした。批判もされ、男性作家からの嫉妬も多かった。そのなかで腐らずに、なにくそと思って勝ち続けてきました。受け身の人生ではなく、自分で道を切り開いてきました。
負けん気が強かったことと、だれよりも自分が一番、自分のことを信じていたことが大きいと思います。「私は絶対に小説家になれる」「いいものを書ける」と自分に自信があったと言っていました。
同じ女性から見ても、かっこいい女性ですよね。こんな風に強く生きられたらいいな、こんな生き方をしてみたいけど普通はできない、ということをすべてやってきたわけですから、あこがれます。それに潔い。この人だったら何でも話せる、何でも聞いてもらえると思わせるカリスマ性がありました。その辺の男性よりも、男前だと感じます。
連載「寂聴 残された日々」はこちらから
寂聴さんが亡くなる直前まで朝日新聞に連載していたエッセー「寂聴 残された日々」。単行本に未収録の分も読めます。
――最期まで書き続けた情熱は、どこからわいてきたのでしょうか。
私は「作家脳」と言っていま…