第3回信念を貫いた寂聴さん、でもケーキとコーヒーの注文で迷う一面も
③瀬尾まなほさんに聞く
瀬戸内寂聴さんは何ごとにも動じず、自らの信念を貫いて生きてきた。でも、優柔不断な一面があったという。秘書の瀬尾まなほさん(34)が語る。
連載「寂聴 残された日々」はこちらから
寂聴さんが亡くなる直前まで朝日新聞に連載していたエッセー「寂聴 残された日々」。単行本に未収録の分も読めます。
――寂聴さんは、66歳も年下の瀬尾さんのことを信頼していました。
この11年間、何よりも先生のことを一番に考え、私なりに必死でやってきました。毎日、いろいろなことを考えました。どうすれば先生が原稿に集中できるのか、取材や行事をスムーズに進めるにはどうしたらいいか。私なりに手探りで、夢中でした。
もちろん瀬戸内寂聴という有名人ですから、会いに来る人は、いい顔をして、ごまをする人もたくさん見てきました。でも、私はおべんちゃらがうまい人間ではないので、常にありのままの自分でぶつかっていきました。先生も好き勝手なことを言いますし、私も好き勝手なことを言って、けんかして、でも笑って、おかしくて、そういう毎日でした。
――いわれのない批判も多かったと思います。
ネットでは好き放題に書かれました。でも、先生は「そんなことを言うやつはバカなんだからほっときなさい」「批判されたり、ねたまれたりするのは、うらやましがられている証拠」と励ましてくれました。自分で自分のことを評価することはできませんが、身近な人たちから「まなほちゃんがいたから先生は長生きできた」と言ってもらえるので、うれしいですよね。
――瀬尾さんが見た寂聴さんの意外な素顔は?
記事の後半では、信念の人だった寂聴さんも日常の中ではなかなか物事を決められなかった一面も紹介されます。
先生は竹を割ったような性格…