第10回寂聴さんとの別れ 「やり尽くした潔い人生。死ぬまで作家でした」

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聞き手・岡田匠
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⑩瀬尾まなほさんに聞く

 瀬戸内寂聴さんが昨年11月9日に亡くなった。秘書の瀬尾まなほさん(34)は悲しむ間もなく、マスコミ対応を考えなくてはならなかった。あれから8カ月余り、寂聴さんが多くの人に慕われたのはなぜだろう。瀬尾さんに聞いた。

連載「寂聴 残された日々」はこちらから

寂聴さんが亡くなる直前まで朝日新聞に連載していたエッセー「寂聴 残された日々」。単行本に未収録の分も読めます。

 ――新聞記者の私が聞くのもおかしいかもしれませんが、亡くなった直後からマスコミ対応に追われたと思います。

 亡くなったあと、親しくしていた人たちに連絡しました。ごく限られた人だけです。それなのに亡くなった日の昼には、ある記者から電話がかかってきました。「亡くなったという話があるんですが、どうでしょうか」と。早すぎっ、と思いました。「今も生きていますよ」と言うしかなかった。うそをつき続けることが、ものすごく嫌で、ものすごくしんどかったです。

 そっとしてほしかったんです。私たちスタッフだけでなく、親族も静かに見送りたいと思っていました。もちろん、先生が死んだら、新聞やテレビが大きく扱ってくれる。それはありがたいことです。公表しなければならないことも、わかっていました。でも、それは亡くなった日とか次の日ではなく、私たちが先生にきちんとお別れを言えて、心の整理がついてからにしたかったんです。

 ――公表のタイミングは、いつを考えていたのですか?

記事の後半では、寂聴さんが亡くなったこと公表するまでの葛藤が語られます。

 長年、親しくしていた信頼で…

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