どん底を知った宮市亮「いつか報われる」 10年ぶりの代表で躍動

岩佐友
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(24日 サッカー東アジアE―1選手権 日本0―0中国)

 試合前、宮市亮の名が呼ばれると、会場に大きな拍手がわき起こった。日本代表デビューから10年。地元・愛知で初先発を飾った。

 2011年、愛知・中京大中京高からイングランドの名門アーセナルへ。翌年、同1部ボルトンに期限付き移籍していた時に代表に初めて選ばれた。当時は19歳。「大きな理想を描いていた」。アーセナルで活躍し、代表の中心に――。そんな野心に燃えていた。

 現実は違った。度重なるひざの大けがに悩まされた。代表戦は病院のベッドでテレビ観戦することがほとんど。引退も覚悟した。

 昨夏、横浜F・マリノスに加入。今季J1で3得点し、代表に復帰した。10年前から変わったのは精神面だ。「あまり先を見ないようになった。現実的に。1日1日を大事にしていこうと」

 19日の香港戦で3563日ぶりに出場。歴代4位のブランク記録で戦争による中断を除けば最長だった。この日は右サイドで躍動した。前半19分、自慢のスピードで相手を振り切り、速いクロスで細谷のヘディングシュートを演出。その後も再三、好機を作った。それでも「ゴールにつながらなかったのが悔しい。勝ちたかった」と満足しなかった。

 どん底から返り咲いたキャリアが、けがで苦しむアスリートや子どもたちの励みになればと願う。「いつか必ず報われる日が来ると、勇気づけられるようなプレーをしていけたら」。まだ29歳。さらなる飛躍を目指している。(岩佐友)

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